ビジネスエンティティーによるBPR/ERPの勧め
ビジネスエンティティーが新たなビジネス戦略とISPの重要なキーワードとして、その策定に繋がり、最終的にBPRの企画書になっていく過程を、簡単な方法論としてまとめた。経営者には情報システム計画を考える際の指南書、BPRを考えるビジネスの責任者にはリエンジニアリングの手引書、システム部門には企業モデル設計の教科書として有用。
書籍データ
発行年月 | 2000年11月 |
判型 | A5 |
ページ数 | 184ページ |
定価 | 2,640円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-66210-3 |
概要
筆者が在籍する海運業界、特にコンテナビジネスの世界は、希に見る過当競争と低運賃の影響により、慢性的な赤字経営を余儀なくされている。赤字を解消し、健全経営とするために、全社をあげて経営改革、組織改革、ビジネス改革に取り組んでいるが、なかなか効果をあげることが出来ないでいる。
一方、情報システム業界は、ERPブームが押し寄せ、SAPを筆頭とするERPベンダーはこの世の春を謳歌しているようである。しかし、ユーザーの目でみるとERPの導入やカスタマイズに予想以上の時間やコストがかかり、必ずしも成功しているとは思えず、大変な苦戦を強いられているというのが現状であろう。筆者は、情報システム部門に在籍するかたわら、ビジネス改革のアイデアのいくつかを社内で発表してきた。そのアイデアおよびアイデアを考える過程で、ビジネスエンティティーが、ビジネス戦略を策定するための重要なキーワードになると確信した。
それは、コンテナビジネスで定義したビジネスエンティティーが、新たなビジネス戦略とISPの策定に繋がり、最終的にBPRの企画書になっていく過程を簡単な方法論として纏めることで、ERP/BPRに、いかに取り組むかのヒントを探し求めている企業や担当者の道標となるに違いないと考えた次第である。
情報システムの構築を考える経営者には、いかに情報システム計画を考えるかの指南書として、BPRを考えるビジネスの責任者には、リエンジニアリングの手引き書として、情報システムの再構築を迫られているシステム部門には、企業モデル設計の教科書となるようにとりまとめている。また、海運業に全く関係ない読者の方々にとっても、ビジネスエンティティーの考え方、BPRの方法論が参考になるはずである。悩める情報システム関係者に対して、ISPを考えるための道標になれば幸いである。(「はじめに」より)
目次
第1章 ビジネスエンティティーと企業革新
1.1 ビジネスと情報システムの課題
1.2 ビジネスエンティティーとは
1.3 BPRやERPの目的
1.4 ISPの策定
1.5 BPRでなにをやるか
1.6 ソフトウエア(ERP)の選択
第2章 海運業の概要
2.1 海運業の生い立ち
2.2 現在のビジネス環境
第3章 コンテナビジネス
3.1 B/L(船荷証券)
3.2 コンテナ船運航
3.3 蒐貨(しゅうか)
3.4 コンテナ
3.5 輸出入業務
第4章 コンテナビジネスの諸問題
4.1 稼働中の現行システム
4.2 会計システムと発生地
4.3 代理店と取引先(収支先)
4.4 B/L発行とドキュメンテーション
4.5 お荷物のホストシステムと情報システムコスト
4.6 慢性的な赤字
4.7 ラインの定義は何か
4.8 その他の諸問題
4.9 コンテナビジネスの組織
第5章 ビジネスエンティティーを見つけ出す
5.1 ビジネスエンティティーとは
5.2 コンテナビジネスのサービスとは
5.3 定期船運航サービスを支えるビジネスエンティティー
第6章 ビジネス戦略を考える
6.1 ビジネスを変える
6.2 コンテナビジネスの企業モデル
6.3 コンテナビジネスの新組織体制の提案
6.4 会計基準の改訂
6.5 原価管理
第7章 企業モデルを実現する新しい情報システム
7.1 貨物輸送情報システム
7.2 決算システム
7.3 契約管理システム
7.4 コンテナ需給管理システム
7.5 債権管理システム
7.6 コンテナオペレーション
7.7 ドキュメンテーション
7.8 コンテナ資産管理システム
第8章 情報戦略を決定する
8.1 企業モデルの採用
8.2 ERPの検討
8.3 ハードウエアの選択
8.4 情報システム部門の組織
第9章 BPRの方法論へ
9.1 BPR/ERP提案の方法論へ
9.2 どのように提案していったか
9.3 方法論の提案
9.4 終わりに