情報管理の基礎知識
【2訂版】
IT時代に即した情報の収集から加工、検索を経て活用までの情報管理を習得することを目的とする。多数の大学・短大で教科書として採用され、初版発行以来10年で10版を数えた前著を全面改訂。
[2012年4月、5版発行]
【目次】情報と情報管理/一次資料/二次資料/情報の加工/データベース/シソーラス/様々な検索の実際/検索結果の評価/著作権
書籍データ
発行年月 | 2004年9月 |
判型 | A5 |
ページ数 | 144ページ |
定価 | 1,980円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-72741-3 |
概要
私たちが生きている社会は多くの情報に取り囲まれている。つまり膨大な情報の存在する情報化社会といわれる中で生活をしているわけである。昨今ではデジタル技術の進歩がさらに情報の飛躍的増加に拍車をかけている。しかしながら情報に関して量的には豊かな環境にあるにもかかわらず、すべての人が自分に必要な情報を自分の力で選択する能力を持ち合わせている状況には至っていないといわざるをえない。
平成10年に初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議より「情報化の進展に対応した教育環境の実現に向けて(最終報告)」が提出され、「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況等を踏まえて発信・伝達できる能力」を情報活用能力と位置づけ、これを育成する教育を提案している。
この情報教育の理念を実現するために、各種教育機関が「必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造・発信・伝達する能力」つまり情報管理の能力を身につける教育に取り組み始めてきていることは好ましいことである。
本書はインターネット時代に即した情報の収集から加工、検索を経て活用までの情報管理を習得することを目的としたテキストである。
独力で情報にアクセスできる、情報を整理できる、活用できるといった一連の情報管理行動は情報自立の確立を意味する。それによって情報化に伴い提供される多種の情報資源への最適なアクセスを享受することが可能になる。このような情報自立を携えた人が増えることによって、情報はより豊富で質の高いものへと展開されるという効用を生むことにもなろう。
情報管理の第一歩は、情報を収集することから始まる。情報はやみくもに探しても意味を持たない。大量の情報へのアクセスは、情報管理の知識がなければその行為は成功しない。また情報は行動の意思決定に役立つことが多い。これが、情報アクセスを身につけた人は、より知的な意思決定を行う上で優位に立つといわれる所以である。
したがって大学時代に情報管理の基本を身につけることは、卒業後社会人として行動する中で、直接的あるいは間接的に、無限に役立つ大きな財産を持つことにもなる。
本書の初版である『情報管理の基礎知識』が1993年に出版されてから11年が経過した。情報管理の分野は日進月歩の動きが見られ、初版刊行以降、部分的に改訂・補筆を試みてきたが、今回、章立ても内容も大幅に改訂し二訂版として刊行することになった。ITのさらなる展開は情報管理に大きな影響を与えることがこれからも予想される。それらについては今後も適宜、補足、加筆をしたいと願っている。(「はじめに」より)
目次
第1章 情報と情報管理
1.1 社会と情報
1.2 情報という言葉のはじまり
1.3 情報とは
1.4 情報の種類
1.5 情報管理とは
1.6 情報管理における情報とは
1.7 情報管理のサイクル
1.8 情報管理に必要な知識
第2章 一次資料
2.1 一次資料とは
2.2 図書
2.3 雑誌
2.4 新聞
2.5 学位論文
2.6 テクニカル・レポート
2.7 特許資料
2.8 会議資料
2.9 灰色文献
第3章 二次資料
3.1 二次資料とは
3.2 二次資料の歴史
3.3 二次資料の特性
3.4 二次資料の種類
3.5 抄録誌・索引誌の作成プロセス
3.6 主要な抄録誌・索引誌
第4章 情報の加工
4.1 主題分析とは
4.2 キーワードを付ける
4.3 抄録をつくる
4.4 分類をする
第5章 データベースと検索ファイル
5.1 データベースとは
5.2 データベースの歴史
5.3 データベースの種類
5.4 作成から利用までの流れ
5.5 データベースの提供
5.6 検索ファイル
第6章 シソーラス
6.1 自然語と統制語
6.2 シソーラス
6.3 シソーラスの構成
6.4 件名標目表
第7章 情報検索の機能-1:論理演算
7.1 3つの論理演算
7.2 検索の優先順位
7.3 その他の論理演算子
第8章 情報検索の機能-2:トランケーション
8.1 トランケーションの機能
8.2 トランケーションの種類
第9章 図書館の蔵書検索
9.1 NDL-OPAC(書誌一般検索)の概要
9.2 検索の基本的な流れ
9.3 キーワードによる検索
9.4 統制語による検索
9.5 著者名による検索
第10章 図書情報の検索
10.1 Books.or.jp(日本書籍出版協会)の概要
10.2 検索の基本的な流れ
10.3 キーワードによる検索
10.4 著者名による検索
10.5 ISBNによる検索
第11章 雑誌記事の検索
11.1 「雑誌記事索引」(国立国会図書館)の概要
11.2 検索の基本的な流れ
11.3 キーワードによる検索
11.4 トランケーションによる検索
11.5 検索式による検索
第12章 学術論文の検索(統制語検索)
12.1 JSTPlus(科学技術振興機構)の概要
12.2 検索の基本的な流れ
12.3 統制語による検索
12.4 シソーラスの参照
第13章 検索結果の評価
13.1 検索結果の出力内容
13.2 結果件数
13.3 再現率と精度
第14章 著作権
14.1 著作権とは
14.2 情報管理関係の著作権
14.3 資料の複写と著作権