海流

―最後の移民船『ぶらじる丸』の航跡

川島裕 著

著者が、日本最後の移民船となった『ぶらじる丸』の船長として、運航を指揮したその最終航海の模様と、第1回日中友好青年の船として一衣帯水の東シナ海を渡った昭和の遣中船の生きた航海日誌である。

書籍データ

発行年月 2005年9月
判型 A5
ページ数 304ページ
定価 2,640円(税込)
ISBNコード 978-4-303-63490-2

概要

著者が、日本最後の移民船となった『ぶらじる丸』の船長として、運航を指揮したその最終航海の模様と、第1回日中友好青年の船として一衣帯水の東シナ海を渡った昭和の遣中船の生きた航海日誌である。

目次

第1章 晩秋の別離
 晩秋の別離
 船長泣かせの密航者
 祖国よさらば

第2章 太平洋天気晴朗にして波静か
 太平洋の夜明け
 避難訓練と防火訓練
 船長主催のウエルカム・パーティー
 船旅は楽し
 日本人何を急いでどこへ行く
 ニューヨーク・タイムス婦人記者のインタビュー
 洋上のハッピー・バースデー

第3章 ハワイの休日
 海軟風のいたずら
 トラ・トラ・トラ(われ奇襲に成功せり)
 ハワイの休日
 船上生け花の会
 日米合作劇『猿蟹合戦』の夕べ

第4章 ロサンゼルスの休日
 ロサンゼルス入港
 ロサンゼルスの休日
 海の王者「鯨」とのランデ・ブー
 母帰る
 南米で待つ花婿どのに幸せ運ぶ「花嫁船」

第5章 船上のメリー・クリスマス
 20世紀人類最大の偉業パナマ運河通峡
 国際犯罪都市コロン
 祖国は遠くなりにけり
 船の最も悲しい行事「水葬」
 船上のメリー・クリスマス
 戦場のメリークリスマスとキャプテン森
 赤道祭

第6章 船去りし友の幸せを祈る
 世界最大のアマゾン河 緑の地獄
 洋上の行く年来る年
 洋上の謹賀新年
 「さよなら」の言葉は悲し
 天下の美港「リオ・デ・ジャネイロ」
 最後の移民船のサントス入港
 船去りし友の幸せを祈る
 ブラジル日本人社会の『勝ち組・負け組』問題

第7章 タンゴの国アルゼンチン
 南米航路最終港ブエノス・アイレス入港
 タンゴの国「アルゼンチンの休日」
 日ア修好の歴史
 兼高かおるさんと船長の海・空談義
 『阿波丸』沈没事件の遺児・原恵子さん
 『阿波丸』沈没事件の謎

第8章 帰航の途につく
 『ぶらじる丸』船上お別れパーティー
 懐かしの港「ブエノス・アイレス」よさらば!
 南米のスイス「ウルグアイ」
 ラプラタ河口の海戦
 アディオス!モンテビデオ
 『ぶらじる丸』のブラジル最後の寄港

第9章 「船内日本語学校」開校
 さようなら「リオデジャネイロ」
 「船内日本語学校」開校
 客船の華・女子船員
 僚船『新さくら丸』との洋上ランデブー
 さあ太平洋日本列島の浮かぶ海
 痴人の恋
 船長講話『世にも不思議な物語』二題
 ロサンゼルスとサンフランシスコ「最後の休日」

第10章 最後の太平洋横断航海
 最後のハワイの休日
 「憧れのハワイ航路」よ永久に
 姉妹船『にっぽん丸』との洋上デート
 海の古戦場で平和を祈る
 日米元海軍士官同士の語らい
 岸壁の花嫁
 敵艦見ゆ 特設監視艇『第23日東丸』の悲劇
 「魔の海域」も天気晴朗にして波静か
 早春の帰帆

第11章 赤県扶桑一衣帯水一葦可航
 『ぶらじる丸』引退の花道
 赤県扶桑一衣帯水一葦可航
 中国最大の国際都市・上海
 中国の首都・北京の秋
 万里の長城と明の「十三陵」
 昭和の遣中使の使命を果たして
 『ぶらじる丸』引退
 さよなら『ぶらじる丸』