デジタルスタイルデザイン

精密工学会デジタルスタイルデザイン研究分科会 編

詳細設計より上流の製品開発プロセスについてデジタル技術を基礎として支援するシステムを実現することを目指し、(1)発想を支援する手法・技術、(2)美しい曲線・曲面の構築法や評価法、(3)形状構築を容易にする手法・技術、(4)製品の試作以前にその使いやすさを評価検証する技術について、将来の可能性も含めてまとめた。

書籍データ

発行年月 2008年12月
判型 A5
ページ数 232ページ
定価 2,860円(税込)
ISBNコード 978-4-303-72724-6

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概要

精密工学会デジタルスタイルデザイン研究分科会は、工業デザインの方法論の整理・体系化、ならびに工業デザインのさまざまな段階で実用可能なデジタル技術(形状感性のデジタル化技術、形状の工学的高品位化技術、形状モデリング技術、情報処理技術、CAD技術)について研究を行うことを目的として発足したもので、そのメンバは、形状モデリング技術あるいは製品データ活用技術を専門とする精密工学会会員、実際に製品デザインを経験したことがある日本デザイン学会会員、企業において製品デザインを担当している現役デザイナ、およびデザインCADベンダで構成された。

本書は、この研究分科会で得られた成果をとりまとめたものであり、詳細設計より上流の製品開発プロセスについてデジタル技術を基礎として支援するシステムを実現することを目指し、(1)発想を支援する手法・技術、(2)美しい曲線・曲面の構築法や評価法、(3)形状構築を容易にする手法・技術、(4)製品の試作以前にその使いやすさを評価検証する技術について、将来の可能性も含めて述べられている。

【執筆者】 青山英樹(慶應義塾大学)序章、3.2、4.3節/萩原祐志(東京工科大学)1.1節/井上勝雄(広島国際大学)1.2節/松岡由幸(慶應義塾大学)1.3節/氏家良樹(慶應義塾大学)1.3節/村上存(東京大学)1.4、4.4節/原田利宣(和歌山大学)2.1節/井上治郎(ダイハツ工業株式会社)2.1節/三浦憲二郎(静岡大学)2.2節/吉田典正(日本大学)2.3節/斎藤隆文(東京農工大学)2.3節/東正毅(豊田工業大学)2.4節/川原万人(明星大学)2.5節/小林一也(富山県立大学)3.1節/和泉弘龍(ダッソー・システムズ株式会社)3.3節/近藤邦雄(東京工科大学)3.4節/金井理(北海道大学)4.1節/高橋秀智(東京工業大学)4.2節/城間祥之(札幌市立大学)4.5節

目次

序章 デジタルスタイルデザインの実現に向けて
    はじめに
    デジタルスタイルデザイン研究分科会の発足
    本書の構成

1章 形態発想のデジタル支援
    1.1 形状集団の探索と獲得を支援するシステム
       1.1.1 DSSの関連研究について
       1.1.2 ここで紹介するDSSの目的などについて
       1.1.3 システムの構築と妥当性評価方法について
       1.1.4 シミュレーション結果
       1.1.5 システムの妥当性と展望
       1.1.6 今後の課題と期待
       1.1.7 まとめ
    1.2 製品の造形コンセプト策定法
       1.2.1 デザインコンセプト策定の手法
       1.2.2 事例によるコンセプト策定
    1.3 マクロインフォマティクスを応用した形状生成
       1.3.1 マクロインフォマティクス
       1.3.2 マクロ情報「複雑さ」の定式化
       1.3.3 「複雑さ」を操作する形状生成法
       1.3.4 「複雑さ」の定式化における課題
       1.3.5 おわりに
    1.4 プロダクトデザインの発想支援技術
       1.4.1 プロダクトデザインに対する科学・技術の寄与の形
       1.4.2 ユニバーサルデザインの発想支援
       1.4.3 独自性の定量化に基づく形と色の発想支援

2章 美しい曲線・曲面デザインのデジタル支援
    2.1 美しい曲線の性質とそれを応用した曲線創成
       2.1.1 曲線の性質の定量化手法開発と曲線分析
       2.1.2 創成した自己アフィン性を有する視覚言語の応用
       2.1.3 自然造形物・工芸品における曲線に学ぶ
       2.1.4 空間曲線における性質の分析手法
       2.1.5 まとめ
    2.2 美しい曲線の一般式
       2.2.1 解析的な曲率対数分布図
       2.2.2 美しい曲線の一般式
       2.2.3 自己アフィン性
       2.2.4 3次元への拡張
       2.2.5 おわりに
    2.3 美的曲線の全体像と美的曲線セグメント
       2.3.1 美的曲線の全体像
       2.3.2 美的曲線式と全体像の解明
       2.3.3 美的曲線式の導出
       2.3.4 美的曲線セグメント
       2.3.5 まとめ
    2.4 美しい曲面の解析と生成
       2.4.1 意匠設計プロセスとCADシステム
       2.4.2 美しい曲面とその評価
       2.4.3 縮閉線に基づく曲率変化の滑らかな曲面の生成
       2.4.4 曲面変形操作と触覚ナビゲーション
       2.4.5 測定点からなるメッシュデータの平滑化
       2.4.6 曲率変化に基づく意匠曲面形状のパラメトリック設計
       2.4.7 まとめ
    2.5 デジタルモデリングのための形状分析法
       2.5.1 形状分析の必要性
       2.5.2 形状分析の考え方
       2.5.3 2次元図形の表現
       2.5.4 形状分析の基本的手順
       2.5.5 まとめ

3章 柔軟な形状創成のデジタル支援
    3.1 テンセグリック・モデリングによる形状変形
       3.1.1 テンセグリティ
       3.1.2 プレストレス構造のモデルと計算方法
       3.1.3 任意形状に適用可能なテンセグリティ構造
       3.1.4 テンセグリック・モデリングとt-FFD
       3.1.5 人体形状変形への適用
       3.1.6 テンセグリック・モビール
    3.2 製品コンセプトおよび製品イメージからの3次元形状モデル自動構築
       3.2.1 システムの概要
       3.2.2 システムによる形状創発結果
       3.2.3 まとめ
    3.3 細分割曲面とソリッドモデリングの融合
       3.3.1 サブディビジョン・サーフェスとは
       3.3.2 サブディビジョン・サーフェスの特徴
       3.3.3 サーフェスモデラとソリッドモデラの融合
       3.3.4 ソリッドモデラの課題
       3.3.5 サブディビジョン・サーフェスの課題
       3.3.6 細分割曲面とソリッドモデリングの融合に向けて
    3.4 フリーハンドスケッチによるインタラクティブモデリング
       3.4.1 インタラクティブモデリングの必要性
       3.4.2 スケッチと形状モデリングの分析
       3.4.3 インタラクティブモデリングの現状
       3.4.4 スケッチを用いた3次元形状入力システム
       3.4.5 まとめ

4章 情報機器プロトタイピングのデジタル支援
    4.1 情報機器デザインのための3次元デジタルプロトタイピング
       4.1.1 情報機器開発におけるデジタルプロトタイピングの必要性
       4.1.2 UI可動型3次元デジタルプロトタイプを用いた情報機器ユーザビリティ品質評価システム
       4.1.3 デジタルハンドを用いたエルゴノミクス品質評価システム
       4.1.4 おわりに
    4.2 携帯情報端末開発のための拡張現実感システム
       4.2.1 システム構成
       4.2.2 計測システム
       4.2.3 実体インタフェース
       4.2.4 画像生成システム
       4.2.5 まとめ
    4.3 ミックスドリアリティ技術を活用した情報機器デザイン評価
       4.3.1 ハイブリッドモデルの概念
       4.3.2 システムの概要
       4.3.3 システムの構築と操作性評価
       4.3.4 まとめ
    4.4 光造形モックアップと内部動画解析法による製品ユーザビリティ評価
       4.4.1 デザインプロセスとモックアップ
       4.4.2 内部動画解析法
       4.4.3 内部動画解析法による使用状態データの取得
       4.4.4 内部動画解析法によるインタフェース機能模擬
    4.5 情報機器プロトタイピングのケーススタディ
       4.5.1 デザイン開発目標
       4.5.2 デザイン仕様(制約条件)
       4.5.3 筐体のアイデアスケッチ
       4.5.4 1次デザインモデルの選定
       4.5.5 クレイモデルによる形状確認と指挿入実験
       4.5.6 1次デザインモデルの3D CADによる形状モデリング
       4.5.7 1次デザインベースのRP製作と2次デザインの提案
       4.5.8 2次デザインベースの3D CADモデルと指挿入容易性の検討
       4.5.9 機構設計
       4.5.10 筐体パーツのRP製作と機能モックアップモデル
       4.5.11 まとめ