Moodle活用法

―語学の授業に生かす

宮添輝美 編・著
ポール・ダニエルズ/テリー・アンダーソン 著

Moodleと呼ばれるオープンソースの学習管理システムを、語学の授業や学習に活用するノウハウをまとめた。英語教育を例に解説し、ネイティブとノン・ネイティブを執筆者とすることでバランスよく活用法を網羅、多機能なコミュニケーション・ツールであるMoodleのさまざまな可能性について、実践的に紹介する。

書籍データ

発行年月 2011年9月
判型 B5
ページ数 224ページ
定価 3,080円(税込)
ISBNコード 978-4-303-73476-3

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概要

本書は、Moodleと呼ばれるオープンソースの学習管理システムを、とりわけ語学の授業や学習に活用するためのノウハウをまとめたものです。著者の専門の関係から、英語教育を例に解説していますが、さまざまに転用ができるよう、汎用性のある活用法を選んでいます。学校・企業を問わず世界的に導入が進むMoodleですが、多機能なコミュニケーション・ツールであるMoodleのさまざまな可能性について、実践的に紹介していきます。

第1章「Moodleとは何か?」では、Moodleというシステムそのものを知りたいという読者を想定して、その概要を説明しています。併せて、Moodleの導入方法をいくつか紹介し、パソコンで小規模にMoodleを運営する方法も略説しています。

第2章「Moodleにコースを準備する」では、Moodle上に授業を展開するうえで最小限、押えておいた方がよい事柄をまとめています。コース空間を作り、生徒を登録し、成績を管理し、バックアップデータを作るなど、授業運営に必要な一連の作業について、一般的な使い方を知ることができます。

第3章「Moodleを使って授業をデザインする」では、Moodleなどのオンライン学習システムを授業に取り入れるうえでの授業プランの立て方を、いくつかのひな型に分類して説明しています。代表例を押えることで、バリエーションを作る手掛かりとなればと思います。

第4章「Moodleを語学の授業に生かす」では、語学の授業に取り入れが容易で、生徒に人気の高いフォーラムやチャット、ウィキなどのアクティビティの作り方について、それぞれ、実際にアクティビティを作りながら学んでいきます。語学の授業には欠かすことのできない音声ファイルの配信法、レポート課題の設定、そして小テストの作り方や成績管理の仕方なども学びます。

第5章「Moodleとマルチメディア」では、さらに、映像コンテンツの取り入れ方や、Hot Potatoesという語学の教員に支持の高いクイズ作成ソフトを例に、初期設定では隠れているモジュールの活性化について学びます。また、一歩進んで、携帯電話などを用いたモバイル学習の取り入れ方についても略述します。

第6章「Moodleコースを超えて」は、Moodleを基盤としたさまざまな交流授業の可能性について、また、授業運営だけでなくイベント企画や情報管理ツールとしてのMoodleの使い方について、実例を引きつつ説明します。

第7章「Moodleの未来」では、Moodleを操作していくうえで困った場合の解決法について、また、進化を続けるMoodleのバージョンの違いについて、さらに、Moodle 2.0の新たな諸機能について紹介します。

著者の宮添輝美とポール・ダニエルズは、長らく日本の大学で英語科目を担当し、英語教育のいわば専門家です。加えて、宮添は教育工学を専門とし、語学をコンテンツとするオンライン学習や遠隔教育について研究しています。ダニエルズはモジュールと呼ばれるMoodleを構成するアクティビティのシステム開発者でもあり、Moodleシステムそのもののエキスパートです。本書では、語学の教育・研究に携わるネイティブとノン・ネイティブを執筆者とすることで、語学の授業でのMoodle運用について、バランスよく活用法を網羅しました。また、両者は依頼を受けてMoodleの使い方について学会やセミナーでワークショップの講師を務めていますが、これらの経験から得られるノウハウが本書執筆の強力なバックボーンとなっています。(「はじめに」より抜粋)

目次

第1章 Moodleとは何か?
     1.1 Moodleとは何か?
     1.2 Moodleの特徴
     1.3 Moodleを体験する
     1.4 Moodleを導入する
     1.5 Moodleをパソコンで運営する

第2章 Moodleにコースを準備する
     2.1 心の準備
     2.2 ロール(役割)の概念
     2.3 コースを作る
     2.4 生徒を登録する
     2.5 表示言語を選ぶ
     2.6 授業の前に(プロファイルのカスタマイズ)
     2.7 学習状況を把握する
     2.8 コースをコピーする(コースのバックアップ)

第3章 Moodleを使って授業をデザインする
     3.1 ブレンド型授業デザインとは
     3.2 ブレンド型授業デザインの導入にあたって
     3.3 ブレンド型授業デザインの種類
        3.3.1 対面授業と独立併用型
        3.3.2 対面授業と同時使用型
        3.3.3 対面授業と同時併用型
        3.3.4 オンライン授業独立型
        3.3.5 オンライン授業で同時使用型
     3.4 複数のMoodleで負荷分散・リスク分散する

第4章 Moodleを語学の授業に生かす
     4.1 コースを作る前に
        4.1.1 編集のための基本操作
        4.1.2 コンテンツ追加の基本概念
     4.2 リソースを用いた教材配信
        4.2.1 ウェブページを作る
        4.2.2 ファイルにリンクする
        4.2.3 著作権の処理について
     4.3 モジュールを用いたコミュニケーション
        4.3.1 フォーラム
        4.3.2 ブログ
        コラム1 ブログ表示システムPISION
        4.3.3 ウィキ
        4.3.4 チャット
     4.4 モジュールを用いた試験作り
        4.4.1 小テストを作る
        4.4.2 レポート課題を作成する
     4.5 授業作りに参加する
        4.5.1 用語集を作る
        4.5.2 投票する
     4.6 授業を評価する
        4.6.1 「調査」を使う
        4.6.2 アンケートを作る
        コラム2 ATTLSとMoodle

第5章 Moodleとマルチメディア
     5.1 マルチメディア・コンテンツを導入する
        5.1.1 マルチメディア・コンテンツを使えるようにする
     5.2 モジュールを拡張する(Hot Potatoesモジュールの活用)
        5.2.1 Hot Potatoesモジュールを準備する
        5.2.2 Hot Potatoesで語学の問題を作る
        5.2.3 Hot PotatoesをMoodleに読み込む
        5.2.4 その他のHot Potatoes問題の作り方
     5.3 モバイル学習を取り入れる
        5.3.1 FreeMailモジュールをインストールする
        5.3.2 Moodle のFreeMailを設定する
        5.3.3 携帯電話からMoodleのブログに書き込む
        コラム3 Moodleのモジュール開発

第6章 Moodle コースを超えて
     6.1 Moodleを用いたさまざまな交流
     6.2 Moodleを用いた全学カリキュラム
        6.2.1 Moodle上に学校を展開する
        6.2.2 フロントページの表示設定
     6.3 Moodleの多面的利用法
        6.3.1 情報ポータルとしてのMoodle
        6.3.2 イベント企画ツールとしてのMoodle
        6.3.3 コミュニケーション・ツールとしてのMoodle
     6.4 Office Add-in for Moodleの使用法
        6.4.1 Office Add-in for Moodleをセットアップする
        6.4.2 フロントページを「マイMoodle」表示に変更する
        6.4.3 MoodleコースへOfficeファイルを送信する

第7章 Moodle の未来
     7.1 Moodleお助けサイトについて
     7.2 Moodleのバージョンについて
     7.3 Moodle 2.0