<マリタイムカレッジシリーズ>
これ一冊で船舶工学入門
船に関わる技術者と運航者の共通専門科目である船舶工学を自学自習できる、わかりやすい教科書。A4判で図を大きく示す。「船の基礎知識」「船の歴史」を導入部とし、「船を学ぶための工学基礎」を身につけたあと、「船舶算法と復原力」「船の抵抗」「船の推進」「船の構造と強度」に進む。「練習問題」「参考資料」も掲載。
[2023年4月、3版発行]
書籍データ
発行年月 | 2016年12月 |
判型 | A4 |
ページ数 | 256ページ |
定価 | 3,850円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-22420-2 |
概要
本書は、5商船高専の教員7名で執筆した。これまでは商船系大学の先生が執筆した教科書を使用することが多かった。しかしながら、そのような図書は理論に対する証明が多く、商船高専の学生にとって難解なものになりつつある。とくに船舶工学に関する図書は、造船系大学の先生が執筆したものもあり、商船高専の学生向けの教科書として適しているとはいえない。船舶工学という科目は、航海系および機関系の学生が必修科目として学ぶ、共通の専門科目である。加えて、造船技術者においても船舶工学の内容は大学などで学ぶものであり、乗り手と造り手に共通の専門科目ともいえる。船舶工学は船に係る技術者・運航者の共通の専門科目なのである。本書は、船に係る技術者たちをつなぐ図書として、商船学科の学生が自学自習できる、わかりやすい教科書を目指して執筆を行った。
本書は8つのCHAPTERから構成されている。CHAPTER 1は「船の基礎知識」として、海技士として知っておかなければならない知識を取り上げている。CHAPTER 2は「船の歴史」を取り上げ、船の起源から現代の船への進化を解説している。CHAPTER 3は船舶工学を学ぶ上で必要な「船を学ぶための工学基礎」として、数学・物理に関する基礎知識を示している。数学や力学系の基礎を身につけたい学生は、この章をしっかり学習してほしい。CHAPTER 4は「船舶算法と復原力」である。上級の海技試験合格を目指す学生は、この章の内容を確実に理解してほしい。CHAPTER 5~7では、それぞれ「船の抵抗」「船の推進」「船の構造と強度」を取り上げた。これらの章の内容は、造船系技術者が詳しく学ぶ範囲でもあり、造船系と商船系に共通する基礎知識として理解に努めてほしい。CHAPTER 8には参考資料を掲載した。
今後も、商船高専の教員が協力し、マリタイムカレッジシリーズとして商船高専レベルの教科書を充実させていきたいと考えている。本書が、船員を目指す商船高専の学生が自学自習し、優秀な海技技術者となる助けになれば幸いである。(「まえがき」より抜粋)
目次
CHAPTER 1 船の基礎知識
1.1 船・海運の役割と特徴
1.2 船の分類
1.3 船の主要目と基本用語
1.4 船に関わる法律
CHAPTER 2 船の歴史
2.1 船の始まり
2.2 帆船の誕生と進化
2.3 大航海時代
2.4 高速帆走商船の活躍と終焉
2.5 汽船の誕生と進歩
2.6 安全な航海を目指して
CHAPTER 3 船を学ぶための工学基礎
3.1 数学基礎
3.2 力学基礎
3.3 材料力学基礎
3.4 流体力学基礎
CHAPTER 4 船舶算法と復原力
4.1 船体の形状
4.2 排水量等計算
4.3 重心移動
4.4 復原力
4.5 重心移動による横傾斜(ヒール)
4.6 重心移動による縦傾斜(トリム)
4.7 船舶運航・管理でよく使う船舶算法公式と例題
CHAPTER 5 船の抵抗
5.1 船体に働く抵抗
5.2 抵抗の概要と模型船試験の相似則
5.3 抵抗成分の構成
5.4 抵抗および有効馬力の推定
CHAPTER 6 船の推進
6.1 船の推進方法
6.2 船の出力と効率
6.3 スクリュープロペラ,単独効率とキャビテーション
6.4 推進効率と自航要素
6.5 プロペラ主要目の推定
CHAPTER 7 船の構造と強度
7.1 船体材料
7.2 船体強度
7.3 船体構造
7.4 船体構造図の見方
CHAPTER 8 参考資料
8.1 山県の図表
8.2 プロペラ参考図表
8.3 記号と略語
8.4 SI単位系と工学単位系
プロフィール
CHAPTER 1 鎌田功一(鳥羽商船高等専門学校)
CHAPTER 2 遠藤真(富山高等専門学校)
CHAPTER 3 向瀬紀一郎(富山高等専門学校)
CHAPTER 4 岩崎寛希(大島商船高等専門学校)/向瀬紀一郎
CHAPTER 5 湯田紀男(弓削商船高等専門学校)
CHAPTER 6 木村安宏(大島商船高等専門学校)
CHAPTER 7 木下恵介(広島商船高等専門学校)/向瀬紀一郎
CHAPTER 8 遠藤真/湯田紀男
編集幹事 湯田紀男