戦略的感性商品開発の基礎
―経験価値/デザイン/実現化手法/ブランド・経営
「消費者の感性に訴える、かつ、ヒットする要素を持つ商品を作り込んで、ヒットするべくヒットさせる」ことを目指す「戦略的感性商品開発」について、日本感性工学会感性商品研究部会のメンバーが最前線の研究を紹介する。ほぼ同数の大学関係者と実務家で構成される同研究会ならではの、産学の幅広い読者の参考になる内容。
書籍データ
発行年月 | 2019年8月 |
判型 | A5 |
ページ数 | 192ページ |
定価 | 2,640円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-72397-2 |
概要
第1部の3編は経験価値をテーマにしている。第1章では感性工学とその基幹技術である感性評価、および具体的な応用といえる感性品質や経験価値を中心とした感性商品研究の概要が紹介されている。その経験価値と感性やエモーショナルデザインとの対応関係について第2章で述べられている。さらに第3章ではスポーツ観戦で喚起される様々な感情や感動に着目した研究が紹介されている。2020年東京オリンピック・パラリンピックも控えて時宜に適っている。
第2部の2編はデザインに焦点を当てている。第4章では経産省「産業競争力とデザインを考える研究会」やその最終報告「デザイン経営宣言」について弁理士の立場から紹介されている。第5章では地域特産品開発に関する日本パッケージデザイン協会による調査結果についてデザイナーの立場から紹介されている。
第3部の4編は実用化を意識した技法の提案である。感性評価の時間的変化に着目して提案した曲線描画法について、第6章では概要と可能性が、またドローン映像の感性評価に応用する試みが第7章で解説されている。第8章では旅行者の感じた街並みの雰囲気を可視化して街歩き旅行を支援するアプリが紹介されている。第9章では商品を触るイメージとエフェクタンス動機づけが所有感の生起に及ぼす影響が解説されている。
第4部の3編は、ブランド戦略や経営戦略をテーマにしている。第10章では日本の老舗が何百年も続く戦略を体系化した老舗戦略を理論構築し、ルイ・ヴィトン等欧州の家族経営企業が40年でラグジュアリーブランドへと変貌したラグジュアリー戦略と比較して考察している。また、第11章ではラグジュアリー企業はもとより、他業界の企業がアイコンプロダクトを用いたブランド価値の長期的維持・発展方法を応用する際に有用な示唆を述べている。第12章では経営として感性をモデル化する戦略を提案している。(「まえがき」より抜粋)
目次
<第1部>経験価値
第1章 感性工学と感性評価と経験価値
(長沢伸也・早稲田大学大学院)
第2章 感性商品開発における商品デザインと感性価値
(入澤裕介・日立システムズパワーサービス)
(山本典弘・鈴木正次特許事務所)
(長沢伸也)
第3章 スポーツ消費経験における感動の評価
(押見大地・東海大学)
<第2部>デザイン
第4章 商品開発におけるデザイン・デザイナーと知財
(山本典弘)
第5章 地域特産品開発におけるパッケージデザイナーへの期待
(中越出・公益社団法人日本パッケージデザイン協会)
<第3部>実現化手法
第6章 時系列感性評価手法としての曲線描画法
(西藤栄子・金沢工業大学)
(神宮英夫・金沢工業大学)
第7章 曲線描画法によるドローン映像の感性評価
(熊王康宏・静岡産業大学)
第8章 街歩き旅行支援アプリケーション
(木下雄一朗・山梨大学)
第9章 商品に対する所有感の生起
(井関紗代・名古屋大学大学院)
(北神慎司・名古屋大学大学院)
<第4部>ブランド戦略・経営戦略
第10章 老舗戦略の理論的枠組みに向けた考察と事例
(入澤裕介)
(長沢伸也)
第11章 持続的なブランド価値のマネジメント
(杉本香七・メントール)
(長沢伸也)
第12章 感性価値創造を促すプロセスとは
(庄司裕子・中央大学)
その他
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