<北水ブックス>
卓越年級群
―カレイとタラの生残戦略
「お祈りしていても資源は増えない」。卓越年級群(著しく生き残りの良い学年のこと)の発生機構を解明し、人手と費用がかかる種苗放流に頼らない資源増大法の発見を目指す著者の研究を、水産科学分野に興味のある高校生から研究者、水産関係者、釣り好き・魚好きの人まで、幅広い読者に向けてオールカラーで解説。著者を支え、研究室で卒業研究や論文として成果を上げてきた学生たちの集大成でもある。未発表の解析結果も多数収録。
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書籍データ
発行年月 | 2022年3月 |
判型 | A5 |
ページ数 | 128ページ |
定価 | 1,980円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-80007-9 |
目次
第1章 アカガレイ
漁獲量変動の特徴
資源量も減少していたのか?
資源量が変化する理由
卓越年級群の発生がアカガレイ資源を支えている
[コラム1]卓越年級群研究の歴史
アカガレイ卓越年級群発生機構の探求
刺網目合拡大と燃油高騰が資源保護を促進した
[コラム2]アカガレイの漁獲率を推定する
食性と栄養状態が成長速度を変化させる
環境中の餌の量の年変化
2000~01年に痩せた理由
クモヒトデ類の生涯
2000~03年にクモヒトデ類が減った理由
噴火湾最深部で8~10月に貧酸素水が発生する条件
第2章 ソウハチ
漁獲量変動の特徴
生物学的特徴
仔魚の採集尾数は年変動が大きい
卓越年級群の発生機構と、漁獲量増加の原因
第3章 マコガレイ
マコガレイとマガレイの形態と分布域の違い
函館湾における浮遊仔魚の接岸戦略
浮遊仔魚の輸送量の年変動
着底仔稚魚の餌
仔稚魚はソコミジンコ類のオスを多く食べる
ソコミジンコ類のオスは危険を冒してメスを探し回る
ウリタエビジャコはマコガレイ着底仔稚魚を食べる
ウリタエビジャコに食われないためには?
ウリタエビジャコに食べられる尾数は年によって変化する
資源が減る原因
産まれてからの日数がわかる耳石日周輪
マコガレイの耳石日周輪
孵化日選択的生残
成長-被食仮説
函館湾マコガレイによる仮説の検証
第4章 カレイ類仔魚の餌
アカガレイとイシガレイの仔魚の餌を調べる
尾虫類は見逃されてきたかもしれない
尾虫類は好都合な餌
尾虫類をさらに細かく分類する
第5章 スケトウダラ
原料としてはメジャーなのに外見はマイナー
噴火湾沖合を産卵場とするスケトウダラの分布域と食性
オスはドスを利かせて彼女を誘う
生態的特徴
輸送仮説
輸送の主役
塩分と栄養塩濃度の違い
産卵場所は年によって変化する
地衡流と吹送流
卵は風上へさかのぼる
親潮と沿岸親潮の違い
沿岸親潮が3月までの仔魚生残率を下げている?
日本海では逆に低水温のほうが生残率は高い
仔魚は粘性にあらがうために体形を変化させる
4月以降、沿岸親潮は仔魚の生残を助ける
第6章 マダラ
漁獲量の変動
産卵回遊
食性
仔稚魚の分布と移動
マダラ研究を始めたきっかけ
仔稚魚の種判別で地獄を見る
稚魚の生残率が高いと資源は増えるのか?
青森県脇野沢地区の漁獲量と稚魚密度の経年変化
稚魚の生残率RPSの経年変化
エルニーニョ現象・ラニーニャ現象との関係
稚魚から成魚までの生残率
プロフィール
髙津 哲也(たかつ てつや)
1965年奈良県生まれ、関西弁をマスターする前に広島県に移住し、小学校の途中から東京都に転出。田舎者、生意気と石を投げられる日々に耐えつつ、東京都立富士高等学校を卒業。北海道大学水産学部、同特設専攻科修了。北海道大学大学院水産科学研究科中退、1992年北海道大学水産学部助手に採用、1998年同大学より博士(水産学)を取得。現在は同大学大学院水産科学研究院教授。専門は魚類の生産生態学で、初期生活史と資源量変動機構の解明、食性と成長などの生活史全般を研究。日本水産学会、水産海洋学会、日本水産増殖学会、日本魚類学会、日本プランクトン学会、稚魚研究会会員。著書に『カイアシ類学入門―水中の小さな巨人たちの世界』(共著、東海大学出版会)、『水産科学・海洋環境科学実習』(共著、海文堂出版)などがある。趣味は最安値探索。他にこれといった趣味なし。庭の草むしりはさぼりがち。
その他
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