海の素顔を知っていますか?
―生き物たちからのフォトメッセージ
人間のように環境に手を加えることのできない海の生き物の生活を通じて、私たちが未来に向けて、いま何をしなければならないのかを問いかけます。厳しい自然のなかでたくましく生きている魚類や無脊椎動物のドラマチックな写真を中心に、分かりやすい文章で構成。感動と驚き、笑いなど、見る人の心に残る印象深い本です。
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書籍データ
発行年月 | 2024年4月中旬 |
判型 | A5 |
ページ数 | 128ページ |
定価 | 1,980円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-80081-9 |
概要
海の中の撮影は不便なことが多い。カメラのレンズ交換は水が入るのでできない。呼吸する空気ボンベの容量に限りがあり、いつまでも海中に滞在することができない。すぐまた、ボンベを交換して潜りたいときもあるが、潜水病の危険がともなうため、ある程度の休息時間が必要になる。すると、多くて一日3回くらいしか潜ることができない。そのうえ海水の濁りで望遠レンズが使えないため、どうしても被写体に近づいて写すことになる。近づくと言っても、魚たちは近づけば近づくほど逃げてしまう。なので、自分の吸排気音をできるだけ消すように心がけている。
だが、そんな苦労をなんとも思わせないほど、海の生き物たちは不思議で面白いドラマを見せてくれるのです。私などに「海の神」は関心がないと思うのですが、なぜか事あるごとに助けの手を差し延べてくださる。めったに見られない捕食や交尾のシーン。またある時は産卵と放精の瞬間にめぐり合うチャンスを与えてくださる。
彼らの生きざまに目を見張り、心を動かして感動するたびに、こうした仲間と共に地球上で生きていく大切さを噛みしめている。身の丈以上の欲を持たない彼らの生き方から、何か学ぶべきことがあるのでは、といつも思っている。(「はじめに」より)
目次
1 変わりゆく海の環境
廃物だってマイホーム
サンゴ礁を脅かす地球温暖化
オニヒトデの発生
サンゴを襲う小さな貝
サンゴの侵略戦争
サンゴ礁の荒廃
蘇るサンゴ
蘇ったサンゴ
磯焼け現象
汚染と奇形魚
2 海中彩色劇場
バイオレット
レッド
イエロー
グリーン
カムフラージュカラー
ウルトラブルー
3 食うか食われるか
4 生きる知恵
共生の駆け引き
クリーニング
寄生
魚の国の昼と夜
群泳
ウオヅラ
併泳
擬装する
威嚇する
海のかたち
5 仲間を増やす
コブシメ
クロホシイシモチ
クマノミ
マダコ
サンゴ
アカウミガメ
プロフィール
伊藤 勝敏(いとう かつとし)
1937年、大阪生まれ。
関西総合出版社で写真助手をしていた時、たまたま海藻の写真を撮るため丹後半島の磯に潜ったところ、その周辺の生物の多彩な姿と幻想的な海中世界に魅せられたのがきっかけとなり、海中写真に取り組むようになる。
現在、世界的に海洋生物が多様であることが知られる相模湾(東伊豆)に拠点を置き、刻々と変化する素顔の海の現況を撮影し、新聞、雑誌、などを中心にした写真作家活動を行っている。
1988年・アニマ賞(平凡社)
1999年・朝日海とのふれあい賞(朝日新聞社)
2001年・伊東市技能功労者(伊東市)
2016年・伊豆賞(伊豆新聞社)
●主な著書(共著を含む)
「竜宮」(日本カメラ社)
「海の宇宙」(朝日新聞出版)
「海と親しもう」(岩波書店)
「さかなだってねむるんです」(ポプラ社)
「図説 魚たちの世界へ」(河出書房新社)
「ウオヅラコレクション」「海中探魚図鑑」(保育社)
「伊豆の海」「沖縄の海」「ひとつぶの海」(データハウス)