専門高校生・大学生のためのドローンの教科書

産業教育ドローン活用研究会 編

専門高校や大学、専門学校などに向けた、産業用ドローンスペシャリストの人材育成の教科書。ドローンの一般知識や概説に加え、国土交通省が定める国家資格(一等・二等)の取得に必要な学科試験の教則と実地試験の実地細則を全て収録し、その内容を理解するうえで必要な解説やイラスト、模擬問題を掲載。さらに、産業用ドローンそれぞれの解説とその活用事例を紹介し、課題研究や探究活動などに活用できる。

書籍データ

発行年月 2025年8月上旬
判型 B5
ページ数 192ページ
定価 2,860円(税込)
ISBNコード 978-4-303-46820-0

概要

 無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle、以下ドローンと表記)の活用は急速に広がり、様々な分野で重要な役割を果たすようになった。現在では、農業、映画撮影、スポーツ、物流、災害支援、インフラ点検など、多岐にわたる分野で活用されている。特に近年は、GNSS「Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)」やRTK「Real Time Kinematic(リアルタイム動的測位)」などの精密な位置情報技術を活用した自動操縦や高精度カメラ搭載などの技術の進化により、ドローンの性能と利便性が飛躍的に向上した。今後さらに自律飛行技術やAIの統合などが一層進むことで、より高度なデータ収集や即時対応が可能になる。このような技術革新により、ドローンは将来的にも建設DXや物流分野、スマート農業の推進、省人化対策など、様々な分野で利活用が見込まれており、市場規模はますます拡大する見通しとなっている。それに伴い、ドローンを安全に飛行させるために必要な知識と技能などに習熟した人材が求められており、操縦者は、国家資格である無人航空機操縦者技能証明を取得するだけでなく技術革新に対応した各種産業用ドローンの運用に習熟する必要がある。
 本書は、高校や大学、専門学校などの教育機関に向けたドローン関連の教科書として作成し、一等・二等無人航空機操縦者技能証明(マルチローター)を取得し産業用ドローンの運用に習熟した人材の育成を目的として編集した。そのために、国土交通省が示している国家資格取得に必要な学科試験の教則「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日 第4版)」と実地試験の実施細則「一等・二等無人航空機操縦士実地試験実施細則回転翼航空機(マルチローター)(令和4年11月14日 改正)」を、できるだけ最新の情報(令和7年6月1日 施行の刑法改正を含む)を基にすべて掲載するとともに、それらの内容を理解する上で必要な解説や図表、学科試験に対応した模擬問題などを記載している。さらに、ドローンの一般知識や概説に加えて、産業用ドローンのそれぞれの解説と、その活用事例をできるだけ詳細に記載して、課題研究や探究活動などの教育活動に活用されることを目指すとともに、内容の理解をより深めるために章末に学習課題などを例記している。
 本書がドローンスペシャリスト人材育成の手助けとなれば幸いである。(「はじめに」より抜粋)

目次

第1章 ドローンと産業社会
 第1節 ドローンの歴史
 第2節 産業用ドローン
 第3節 ドローンの形による分類
 第4節 ドローンの課題
 第5節 ドローンの活用事例
 第6節 ドローンに関する法規制
 学習課題・探究活動

第2章 国家資格の概要
 第1節 無人航空機操縦者技能証明制度について
 第2節 無人航空機操縦士試験について
 第3節 技能証明の更新について

第3章 学科試験
 第1節 無人航空機操縦者の心得
      節末テスト
 第2節 無人航空機に関する規則
      節末テスト
 第3節 無人航空機のシステム
      節末テスト
 第4節 無人航空機の操縦者及び運航体制
      節末テスト
 第5節 運航上のリスク管理
      節末テスト

第4章 実地試験
 第1節 総則
 第2節 実技試験の減点適用基準
 第3節 基本に係る実地試験
 第4節 昼間飛行の限定変更(夜間飛行)に係る実地試験
 第5節 目視内飛行の限定変更(目視外飛行)に係る実地試験
 第6節 最大離陸重量25kg未満の限定変更(25kg以上)に係る実地試験

第5章 産業用ドローン
 第1節 空撮ドローン
 第2節 農業ドローン
 第3節 写真測量ドローン
 第4節 レーザー測量ドローン
 第5節 写真検査ドローン
 第6節 赤外線検査ドローン
 第7節 水中ドローン
 学習課題・探究活動

第6章 実践的な探究学習事例
 第1節 ドローンによる森林・林業分野への活用
 第2節 ドローンによる有機農業
 第3節 水中ドローンによる水産資源調査
 第4節 ドローンによる藻場のモニタリング調査
 第5節 自作ドローンについての取組
 第6節 ドローンによる写真測量
 第7節 ドローンによるレーザー測量
 第8節 ドローンによる写真検査・点検
 第9節 ドローンによる赤外線検査・点検
 第10節 プログラミングによるドローン操縦

索引

プロフィール

編者代表紹介
丸﨑 敏夫(まるさき としお)
1960年 愛知県生まれ、1982年 鹿児島大学水産学部海洋資源化学専攻卒業。3年間 大分県立水産高等学校で勤務の後、愛知県立三谷水産高等学校で教諭、愛知県教育委員会事務局6年、教頭5年を経て、愛知県立三谷水産高等学校校長6年、定年退職後に(株)海みらい研究所設立(2020年~)。校長在職時に文部科学省中央教育審議会産業教育WG専門委員(2年)、全国水産教育研究会長(2年)を務め、文部科学省SPH(5年)の採択を受けドローンの研究を始める。文部科学省教科「水産」教科書編集委員(2017年~2022年)、(一社)海と日本プロジェクトin愛知県(日本財団主催)代表理事、中京テレビ放送(株)「そらメディア」顧問としてドローン人材の育成や産業ドローンの普及等に関わる。二等無人航空機操縦者技能証明取得。