Maharaでつくる
eポートフォリオ入門
オープンソースのeポートフォリオシステムであるMaharaは、コース管理システムであるMoodleとの親和性も高く、今後、日本国内でも学校や企業などで利用の拡大が期待されている。本書は、単なるマニュアルにとどまらず、ケーススタディーを紹介するという形式で、実際にMaharaを利用するうえでのヒントを数多く取り入れて解説した、日本語初のMahara本。
書籍データ
発行年月 | 2012年2月 |
判型 | B5 |
ページ数 | 256ページ |
定価 | 3,850円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-73477-0 |
概要
eラーニングに興味を持っている人であれば、Moodleということばを聞いたことがあるでしょう。Moodleはオープンソースの学習履歴管理システム(LMS)であり、システム上で小テストを行ったりすることができるだけではなく、フォーラムやWikiなどを利用して協働学習を行うことができます。無料とは思えない高機能のシステムで、有志のサポートに支えられ、その利用は拡大し続けています。現在は日本ムードル協会(Moodle Association of Japan)が設立され、日本国内においても活発に活動が行われています。Moodle 2.0はさらに高機能なシステムになり、今後の展開が楽しみです。
訳者の勤務校でも、有志の教職員がeラーニングシステムの導入を検討した結果、Moodleの導入を決定し、その利用を推進するために日々活動を行っています。そして、時を同じくしてeポートフォリオの導入も検討しました。2010年春のことです。そこで候補にあがったのが、Moodleと同じくオープンソースのシステムであるMaharaでした。Maharaは2006年に開発が開始されたシステムであり、訳者たちが導入を決定した時点においては、日本国内ではあまり導入例がありませんでした。ポートフォリオはMoodleのようにコースを作り上げるのとは異なり、ユーザ主導で作り上げていくものです。そのため、実際に利用をするにはその利用法を学ぶだけではなく、実践のための計画を綿密に立てる必要があります。そこでヒントとなるようなものを探していたときに出会ったのが、2010年に出版された『Mahara 1.2 ePortfolios: Beginner's Guide』でした。この本は単なるMaharaのマニュアルにとどまらず、ケーススタディーを紹介するという形式で、実際にMaharaを利用するうえでのヒントになる要素を数多く取り入れている素晴らしいものです。そこで、まだ日本国内では包括的なMaharaに関する本が出版されていない現状を鑑み、翻訳版を出版することにしました。
現在、日本国内では教育機関にとどまらず、多くの企業でポートフォリオを用いた評価を行っています。その際、Maharaは有力な選択肢の1つであり、Moodleとの親和性も高いことから、今後、日本国内においても利用が拡大していくことが期待されています。本書がその流れの中で、少しでも役に立つのであれば、訳者たちにとってはこのうえない喜びです。
翻訳書の出版にあたり、万全を期すためにMoodle、Maharaのパートナーであり、翻訳を担当している吉田光宏氏に協力を依頼したところ、快諾をしていただきました。また、原著者の国イギリスと日本では環境が異なるため、日本の環境を意識したうえでの翻訳を心掛けました。具体的には、①ケーススタディーを日本語版に変更する、②本文内の例をできる限り日本の読者を意識したものに変更する、ということを行いました。また原著が出版されたときとは異なり、現在はMahara 1.3および1.4の開発が進んでいるため、それらへの対応も意識しました(付録Dとして、Mahara1.2-1.3、1.3-1.4におけるバージョン間の違いについてまとめてあります)。(「訳者はしがき」より抜粋)
目次
第1章 Maharaでできること
1.1 電子化されたポートフォリオ
1.2 Maharaの使い方
1.3 なぜMaharaか?
1.4 Maharaコミュニティーに参加する
第2章 実際にMaharaを使ってみよう
2.1 Maharaサイトに登録する
2.2 はじめてのログイン
2.3 Maharaのユーザインターフェース:行きたい場所を見つける
2.4 プロファイルを作成する
2.5 プロファイルページ
2.6 プロファイルページにテキストボックスを追加する
第3章 ポートフォリオにファイルとブログを追加してみよう
3.1 ファイルをオンラインにアップロードする
3.2 ブログ
3.3 プロファイルページ上でファイル、フォルダ、ブログにリンクする
第4章 ビューとは
4.1 ビューって何?
4.2 ビューにカラムを追加/削除する
4.3 ビューのアクセス権
4.4 ビューのコピーを許可する
4.5 誰がビューにアクセスできるかを決める
4.6 アクセスできる期間
4.7 ビューを編集する
4.8 ビューをコピーする
4.9 ビューに対するフィードバック
4.10 実際のビューの例:複数のページから構成されるビュー
4.11 ビューのクオリティーを評価する
第5章 グループで作業をしたり、フレンドと交流したりしてみよう
5.1 グループ
5.2 グループタイプ
5.3 作成したグループ内を探検する
5.4 グループショートカットサイドブロック
5.5 オープンメンバーシップのグループに参加する
5.6 グループメンバーを管理する
5.7 グループフォーラム
5.8 フォーラムのモデレート
5.9 フォーラムを管理する
5.10 フォーラムのトピックを使う
5.11 フォーラムとトピックの件名に名前を付ける
5.12 トピックに投稿する
5.13 グループファイル
5.14 グループビュー
5.15 グループを見つける
5.16 リクエストメンバーシップグループに参加する
5.17 グループのメンバーシップリクエストを承認/拒否する
5.18 フレンドを作る
5.19 フレンドリクエストに対応する
5.20 フレンドを管理する
第6章 サイト設定とポートフォリオのエクスポート
6.1 設定
6.2 右側のサイドバーに表示されるプリファレンス
6.3 通知
6.4 ウォッチリスト
6.5 活動プリファレンス
6.6 ポートフォリオをエクスポートする
第7章 インスティテューション管理者、スタッフメンバー、グループチューター
7.1 インスティテューションとは?
7.2 インスティテューションに複数のユーザを一度にアップロードする
7.3 ユーザアカウント設定を編集する
7.4 他のユーザになりすます(代理ログイン)
7.5 インスティテューションのメンバーロールを管理する
7.6 インスティテューション設定を編集する
7.7 管理者通知(Admin Notifications)
7.8 インスティテューションビューとファイル
7.9 学習者をコントロールする
7.10 コースグループについて
7.11 パブリックに閲覧可能なグループ
7.12 チューター
7.13 評価のためにビューを提出する
7.14 評価のプロセスにさまざまな要素を取り入れる
付録A Maharaを運用する前に考えておきたいチェックポイント
付録B Maharaのインストール
付録C クイズの解答
付録D Mahara1.2-1.3、1.3-1.4におけるバージョン間の違い